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ミニのCVT 「Part-2」 2004/07/08(Thu)

MINIのCVT(VT1F)は次のような変速機構になっています。
下図を参照して下さい。

軸間が155mmに設定された、片方がスライドする一対のV型プーリーの間に、金属ベルトが掛けられています。
アイドリング状態で一番広がっていたプライマリー側プーリーの幅が狭くなると、ベルトの回転半径が大きくなります。
それにつれ、セカンダリー側プーリーの幅が広くなりベルトの回転半径が小さくなります。
この動きは各プーリーに反対位置に取り付けられた油圧ピストン・シリンダーによってコントロールされています。
これにより「2.416:1」のローギアから「0.443:1」のオーバードライブまで無段階に変速できるようになっています。

アクセルペダルの開度、車速、ENG回転数などを検出し、プログラムされたコントロールユニットから設定すべきギア比の指令が出され、各プーリーに取り付けられた油圧ピストン・シリンダーを作動させるようになります。
この時重要な働きをしているのが、プライマリー側プーリーにつけられた「センシング・シュー」です。
マニャルミッションのシフトフォークのような形状をし、プーリーをなぞる様に動きギア比を確認しているようです。

ドライバーが操作するシフトレバーには「P-R-N-D」があります。「D」の右側に「- SD +」となっています。

「D」は一般の無段階の自動変速モード

「SD」はENG回転が「D」の30%程高いところで自動変速させるモード

「マニュアル」は「SD」モードにした後、「-」にすればシフトダウン、「+」にすればシフトアップします。この場合ギアを飛ばして変速することは出来ません。

また、シフトアップしようとしても車速が設定値まで達していないとアップすることが出来ないようになっています。
逆にシフトダウンしようとした時、ダウンすることでENGの回転が設定値をオーバーしてしまう時にはダウン出来ないようになっています。
更に、ダウンしなくとも車速が落ちて来るとエンストしないように、自動的にシフトダウンされます。

Part-1で解析したように前進中はクラッチが繋がれたままになっている訳ですが、ショックなしに変速できるのはプーリー比の変更速度に掛かっているようです。

このように解析して行くと、MINIのCVTはオートマというより、ドライバーを助けてくれる半自動M/Tと言えるのではないでしょうか?(それも良く出来た半自動M/T!)

VT1Fの文献には、利点のひとつに「山道路での柔軟な運転」をあげています。
山路をSDモードだけで走るのは、ホントに楽しいんですよねぇ!