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MINIのロアアームはブーメラン 2004/04/04(Sun)

MINIのフロントサスペンションを覗いてみると、ロアアームがちょっと変わった形であることが解ります。
下図を参照して下さい。

形はブーメランのようになっており中間はボールジョイントを介してメンバーに取り付けてあります。
その斜め前方にはやはりボールジョイントを介してストラットの下部のナックルアームに取り付けてあります。
反対側の端部には大径のゴムブッシュを介してボディ側に取り付けてあります。
( 大径ゴムブッシュのバネ定数 < 小径ゴムブッシュのバネ定数 )

一般的にFF車に採用されているロアアームはAアームの変形でL形をしており、アームの遥動心の両端に取り付けられたゴムブッシュで支える構造になっています。
アームの後端に取り付けられた大径のゴムブッシュにより突起物のインパクトを柔らげたり、トー角のコントロールにも効果大です。

そのようなメリットを知りながら、敢えてMINIが採用したブーメラン形のロアアームと2個のボールジョイントはどんな理由なんだろうか?
コーナリング中ではコーナリングフォースを受けるのは殆ど2個のボールジョイントだけとなり、ブッシュゴムのバネに一切頼らないダイレクト感に溢れたインフォメーションが得られます。これだけを見ると、Aアームの遥動部を全てボールジョイントで支えているカート(F1)のようでもあります。
一方、低速時の段差乗越え時に感じる突き上げはゴムブッシュを採用しなかった弊害とも言えます。

このブーメラン形のロアアームに取り付けられた2個のボールジョイントや、以前書いたリアのマルチリンクシステムといい、MINIにはかなりの拘りを感じます。
生ずる弊害とメリットを捨ててまで獲たものは何か?
答えはハンドリングに尽きると思います。
BMWが拘って造ったMINIは正にコーナリングマシンなのです。

車の各部にはバネが入っており、その撓み(コンプライアンス)を利用し走りをコントロールしています。
バネを硬くすれば走りが良くなると思われがちですが、仕組みを良く理解した上でイジルことが大事です。