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MINIのスクラブ半径はなぜポジティブか?? 2004/03/22(Mon)

ただ真直ぐ走り、停まるだけならゼロスクラブで良いはず。そしてコーナリングでも極低速ならゼロスクラブで問題は無いと思います。
しかし自動車メーカーは、何故ポジティブにしたりネガティブにしたりしているのでしょうか?
その鍵はステアリングフィール、最良のステアフィールを求め試行錯誤しているからと思うのです。

FFの常道であったネガティブスクラブを取り入れず、NewMINIは何故ポジティブスクラブを選んだか考察してみました。
FFが出始めた頃、殆どのメーカーはネガティブスクラブを採用していました。
売り文句は走行安定性。例え前輪がパンクしてもパンクによる抵抗を打ち消すように設定されたネガティブスクラブにより、ハンドルが取られず真直ぐな状態で停止できるというものでした。
しかし、そのメリットを捨て敢えてポジティブスクラブにしているのはステアリングフィールの改善なのではないでしょうか?
ネガティブスクラブのコーナリングではコーナリングフォースの発生によりタイヤは撓みます。当然トレッドセンターはキングピン延長線と路面の交点(スクラブセンター)から遠ざかる方向となり、回転モーメントが大きくなります。しかしこのモーメントはハンドルを切込む方向に働く為不自然なインフォメーションとなります。
下図を参照下さい。

自然なインフォメーションを得るにはコーナリング時のトレッドセンターとスクラブセンターを近づける必要がでてきます。
タイヤは撓みを考慮すると当然ポジティブスクラブということになってしまいます。そこで今度はポジティブの量が問題となってきます。

タイヤハイトにより撓み量が変わるということは以前に解説しました。
下図を参照下さい。

My_Cooperは標準のオフセットより10mm少なくしています。(外側に出ている。スクラブ半径=16mm)
しかし、この大きめなスクラブ半径にも拘らずステアフィールはすこぶる良好なのです。
直進時はぶれる事無くどっしりと安定しているものの、切込んでタイヤが撓んだころから応答が良くなり、この撓み量がハンドルを通して感じ取れます。
これは純正サイズのタイヤハイトによるものと思われます。(今履いているタイヤサイズは195/60R15)
これがロープロファイルタイヤではこうは行かないと思います。ワンダリングが強くなったり、トルクステアの増大になってしまいます。
その対策として大馬力、超扁平タイヤの場合はゼロスクラブに限り無く近づける必要性がでてきます。

それにしても、こんな楽しいハンドリングができるのは15inに拘ったMy_Cooperだけではないでしょうか。