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ミニのリアは何故トーインか? 2004/05/08(Sat)

ミニで高速道を走行中に突然横風を受けると車は若干傾ぐも、何事もなかった様に直進して行きます。
これは、どの様ににして得られるものか?考察してみました。

FRが一般的だった頃、Frはトーイン、Rrはトーゼロが定番でした。
最近は走行安定性を考慮してFr,Rrともそれぞれトーイン、トーゼロ、トーアウトと花盛り状態です。
因みにミニのトーはFrがトーゼロ、Rrはトーインにセットされております。
アライメントデータは次の通りです。
 フロント全トー 0°00′±15′
 リア全トー   0°24′±08′

この数値は何を表しているのでしょうか?
下記の絵を参照して下さい。

風を受けて走るセーリングボートは風に対するバランスで走っています。
舵の無いウィンドサーフィンで直進状態から風上に対して方向転換(タック)するにはマストを後ろ側に倒します。
そうするとセンターボードで発生している抗力(横滑りを防ぐ力)の中心より後ろ側に風圧中心が移ります。
そのことで風上側に廻ろうとするモーメントが発生(ウェザーヘルム)して方向転換が出来る訳です。
風下側に方向転換させる時は前述の逆で、マストを前に倒しリーヘルムを発生させます。

一方、ミニで横風を受けた時、風圧中心は前輪・後輪の中心より後ろとなります。
前後輪ともトーゼロの場合はタイヤから発生する効力は同じになり、横風によりウェザーヘルムが発生し風上側に向かおうとします。
風圧中心を移動できないミニを直進(ヘルムゼロ)させるには、風圧中心と抗力の中心を合致させる必要があります。
そのためトー角を付け、スリップアングルにより予めRr側の抗力を発生させ、釣り合うところまで増やしていきます。
このようにして調整されたのがRrトーインの数値となります。

ホイールアライメントはどれも微妙な数値となっています。
マルチリンクを採用しているミニの場合、単に車高を下げますとこのRrトーインも変わってしまいます。

弄れば弄るほど車の性格が変わってしまう理由はこんなところにもあったのです。

Rrトーインについては他にも狙い所があると思われますが、それについては後日といたします。