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デザイナーはロープロファイルがお好き! 2004/02/13(Fri)

各自動車メーカーから発表されるデザインスケッチには一様にホイールがばかでかく、タイヤはペラペラで異常なほどに薄く描かれています。
そのせいもあるのでしょうが、一般の人にとってもこの「ロープロファイルタイヤ」が格好よく見えるようです。

以前にも書きましたが、タイヤというパーツは車のハンドリングにおいても重要な要素をもっていますので、見栄えだけではないタイヤについてもう少し解析してみたいと思います。

最近のスキーは殆どカービングスキーになっていますが、このスキーは求める回転半径により異なるサイドカーブのものを使用します。
大廻り系にはサイドカーブのRが大きいもの、小廻り系にはRの小さいものを使用します。
本来、大きな定常円を描くことしか出来ない「大廻り系のスキー板」でもテールをずらして回転させることで、より小さな円を描くこともできます。
また、ずらし量を加減することで回転半径の調整も出来ます。(下記の絵をご覧下さい)


スキーの舵取りはテールでやりますが、車の舵取りでも後輪もつかっていることは下記の絵で以前に解説しました。

そうです。後輪に発生するスリップアングルを使い、車全体にヨー運動を起こさせます。

ヨー運動が起き難い車はよく「アンダーステアだ!」と言われ、ハンドルを切り足し(こじる)されてしまいます。(前輪だけタイヤ磨耗が大きいのはこの傾向です)
そしてスリップアングルの限界を超えた前輪はコーナリングフォースを得られなくなりコースアウトになってしまうのです。

ロープロファイルタイヤはスリップアングルが発生し難いというメカニズムを下記の絵にまとめました。

「完璧なカービングスキー」は超扁平なスリックタイヤでのコーナリングで、「テールを押し出すスキッドターン」はスリップアングルを利用した快適なコーナリングと言えるのではないだろうか。
「完璧なカービングスキー」をしているレーサーは良くひざの故障を誘発します。ズレが出ない為、雪面(レースのコースはほとんど氷です)からの衝撃をもろに受けるためです。
「超扁平なスリックタイヤ」を履く場合は、足回りの筋力UPが必要なことは言うまでもありません。

今後は受けを狙いでスリップアングルの出難いタイヤの採用が進むと思われます。
このままですと、シャーシの設計者には快適にコーナリングさせるメカの開発指令が出ることでしょう!